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世界周   

         西垣 良一

 

学生時代に友人と世界一周した西垣さん。

どうしていこうと思ったのか。そして、行ってみて、実際どうだったのか。

世界を見て回り、一体彼が何を感じたのか聞いててみた。

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世界一周のきっかけ

 

 地元の友達と、「俺らが遊ぶときは普段やらない遊びをしよう」とずっと言い続けていたんです。高校を卒業して大学生になったとき、ふと「外国行かん?」という話になりました。それじゃどこ行くか、となったとき「東南アジア、アツいらしいやん」という話になり、世界地図を広げてみると「え? インドってこんな近いんや!」、「エジプトの砂漠とかも見てみたい」、「これもうちょっと行ったらアフリカやし、すぐ上に行ったらヨーロッパで、海渡ったらもう南米やん。これは、世界一周するしかない!」こんな流れの中、30分ほどで世界一周が決まりました。

 世界一周に行こうと決めた理由は楽しそうだから。それだけでした。

̶̶準備はどれくらいかかったんですか?

 大学1回生の夏に行くと決めてから、実際に行ったのが3回生の夏です。

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           初めて死ぬことを意識した瞬間

 

 

 日本を出る前までは「トイレどこですか?」すら話せませんでした。現地には電子辞書を持っていったんですが、どうしよう、となったことは数えきれないくらいあります。

 言語もそうですが、それ以上に不安だったのがテロのニュースなどを見て、世界一周から無事に帰ってこられるのか、ということでした。人生で初めて死ぬことを意識した瞬間でした。とても怖く感じたのを覚えています。

 

ー世界一周中は、どんなことをしていたんですか?

 

 現地の人たちと積極的にコミュニケーションを取ることに重点を置いて旅をしていました。 観光をするよりも自転車にまたがって街の景色を眺めることの方が好きでした。あと、言語はあまり得意じゃなかったんですが、それをカバーしてくれたのが音楽です。ジャンベというアフリカの太鼓と、アサラトというマラカスのような楽器を持って散歩していました。現地の人たち、その中でも特に発展途上国の人たちは、そういう楽器にとても興味を持ってくれるんです。それらの楽器を通してのコミュニケーションはとても楽しかったです。 

 

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ー帰国後は何をしていたんですか?

 

 帰ってきてからどうしてもやりたいことがありました。インドのブッダガヤで3日間お世話になったフリースクールに文房具などの物資を送ることです。現地では文房具が全然足りていない状態だったので、何かチャリティイベントみたいなものをしたいと思っていました。

 ただ、団体でもないし、まずどうやってチャリティってやればいいんだろうっていうところからのスタートでした。

 まずは当時通っていた大学の文房具屋にチャリティの主旨を説明した上で「たくさん買うので安くしてください!」と話すと、なんと文房具屋さんの社員から後日、「型落ちのものでよければあげるよ」と連絡があったんです。

 もちろんありがたく頂きました。さっそく次の日に届けていただいたんですが、それが段ボール10箱分もあったんです。さすがにこんなに必要ではないと思い、2か月後に開催される大学祭で売って、送料の予算を作ることにしました。

 ただ、普通に売るのもおもしろくない。そこで、値段はお客さんに決めてもらう形にしたんです。ブースでは青空学校の様子をはじめ、世界一周中の写真も掲載して、この活動の経緯を説明したうえで、「このお金を送料にします。好きな金額で買ってください」と伝えたんです。たくさんの人がこの鉛筆を買ってくれました。

 今考えると少し無茶な売り方をしましたが、みなさん文房具を買うというよりもストーリーを買っているようでした。

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学生に伝えたいこと

 

 海外に行ってみることをお勧めします。できれば先進国と発展途上国の両方を見ておくことで、世界の中で自分は今、この位置にいるんだな、ということがわかると何事も頑張れます。海外に出るときもテーマを決めるとより有意義ですね。僕の場合は「海外のビジスを日本に持ってこれないか」という視点を持っていました。そのうえでアルバイトに頼らないお金の稼ぎ方を考えたりとチャレンジすることは、社会に出た際に役立つと思います。アルバイトを選ぶにしても、できるだけ目上の人と接する職場を選ぶと社会に出たときの対応に困らないと思います。

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